*本記事は、2021年1月に株式会社グリーゼで公開したものを、2024年10月に一部修正を加えて公開しなおしたものです
株式会社システムインテグレータ様は、パッケージソフトやクラウドサービスなどの企画・開発を行うソフトウェア企業。「時間を奪うのではなく、 時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレートスローガンに、日本初のECソフト、IT業界の生産性向上を目指したプロジェクト管理ツール、AIを活用した外観検査ソフトなどの自社オリジナル製品を世に送り出しています。
セミナーをきっかけに、SDGsに一気に取り組むことになったという同社。その理由や取り組みの内容、今後の展望について、梅田社長に伺いました。(取材日:2020年12月24日)
セミナーを受講して覚醒
SDGsに真剣に取り組んでいこう!と切り替わった
国連サミットでSDGsが採択されたのが2015年。日本で結構言われるようになって、私がその名を耳にしたのが2018年ぐらい。当時は「ああ、そういうのがあるんだな」くらいの認識でしかありませんでした。
それから1年、また1年と頻繁にSDGsを見聞きするようになり、今やビジネスでの常識であり、経営にも関わる用語になっている。
ここまで来たら、向き合わないでいるわけにもいかないと、この12月にグリーゼ(現シェダル)さんのWebセミナー『企業がSDGsの情報発信に取り組む5つのメリットとは』を受講しました。
受講して、ハッと目が覚めました。SDGsって、我々のコーポレートスローガンとかこれまでやってきた仕事のやり方と同じ思想に則っているんですね。
また、個人が「できることから」「やれる範囲で」「単発的に」「善意で」SDGsに取り組むことも大事だけど、企業が「ビジネスを通して」SDGsに取り組むことは、規模やスピードのインパクトという点で社会に与える影響が大きいことにも気づかされました。
それで、受講の翌日にはホームページの原稿を書いて、そのあと、社外向けメールマガジンにも書き、社員向けのクリスマスカードにもSDGsのことを一生懸命書いた。やると決めたら一気に!って感じです。
【梅田社長が社員の皆様に贈られたクリスマスカード】
すでに自社で実践していることとすんなりマッチ
遠い存在だったSDGsが身近なものに
実は、それまでずっと、SDGsって「遠いもの」と思っていました。
「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「海の豊かさを守ろう」といっても、ソフト会社は基本的に屋内でパソコンと向かい合っているような仕事なのであまり何もできない。
世の中の事例を見ても、たとえば紙の容器やリサイクル品を使う取り組みって、それが当てはまる業種はいいけれど、ソフト会社ではなかなか難しいですし、我々のような小さな会社がやっても大したことはない。
そんなSDGsに、なぜ、真剣に取り組もうと気持ちが切り替わったのか。
理由は2つあって、私の中でストンと腑に落ちたからです。
一つは、我々のコーポレートスローガン「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」です。
これには私自身こだわっていますし、社員も共感してくれているのですが、これって、SDGsの複数の項目に当てはまる。
ソフトウェアで業務効率化ができれば労働時間が減り、電気代も減ってエネルギーの効率活用につながるし、残業が減って働きがいにもつながる。うちの会社は法定労働時間が5時間ぐらいとかなり少ない会社ですけど、そういう時間削減を社会全体に広められる。
もう一つは、我々は「ソフトウェアを使って何か価値を提供すること」でSDGsに貢献できそう、いや、すでに貢献しているし、ということです。
我々がアジャイル開発※1をするとき、事前に10の質問※2に答えてプロジェクトの目的などを皆で共有するのですが、その1番目の質問に「我々はなぜここにいるのか」という、目的を原点で確認する問いがあるんですね。
これを企業に当てはめると「うちの会社はなぜ存在するのか」になる。よく「激動の時代を生き残るため」といった発言がありますが、この問いを突き詰めて考えていくと、「生き残るために会社が存在するのではない」ってことに気づく。
では、何のために存在するのか、というと「社会に価値を提供するため」ということになる。
なんだ、我々はすでに、持続可能な社会づくりに貢献していた。SDGsという言葉を使っていなかっただけで、SDGsの観点をもってビジネスを行っていた。なら、真剣に取り組んでいくしかないじゃないですか。
※1 アジャイル開発:システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法の一つ。小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていくため、従来の手法に比べて開発期間が短縮されることからアジャイル(agile:素早い)と呼ばれる。
※2 10の質問:Thought Works社のRobin Gibson氏が考案したインセプションデッキと呼ばれるフレームワークで、プロジェクトの全体像(目的、背景、優先順位、方向性等)をメンバー全員が相違なく共有するためのドキュメント。10個の質問と答えで構成される。
SDGsの17目標を整理すると
「自分たちができること」が見えてきた
企業としてサスティナブルな活動をやっていくには、自分たちがビジネスとしてやれるベクトルに乗っかることが大事です。
そう考えると、17の目標のうち、我々がやれることがいくつか当てはまるので、その部分をもう少し深掘りしていこう、と。
それで手始めに17の目標を「当社自身の取り組み」と「社会に価値を提供」の2つに分け、目標1つ1つに対して、何ができている、できるだろう、と整理しました。
他のサイトで社内と社会を分けているのはあまり見ないので、これはソフトウェア業の強みかな。
また、他の多くのサイトでは、自分たちができる目標だけを載せていますが、当社のサイトでは17の目標をすべて掲載して、いつか何かできるかもしれない、と、敢えて空欄を残しています。
それまで、ソフトウェア会社でやれることって、ちっぽけだよね、という思いがありましたが、こうやって整理してみると、いやいや我々は世の中の労働時間を相当短くしているんだから、その貢献をもっとアピールしてもいいんじゃないか、と思えるようになる。「社会に価値を提供する」というのはソフトウェア会社ならではですから。
【17の目標を「当社自身の取り組み」と「社会に価値を提供」に分け、何ができているかを一覧に】
2021年は当社のSDGs元年
社員みんなで取り組んでいく
グリーゼ(現シェダル)さんのWEBセミナーでの問い「企業が取り組む意味は?」に我々も答えなければいけないと思っています。
今はまだサイトにページを作ったばかりの段階ですが、社員が主体となった形でムーブメントにしていかないと意味がないので、今後は社員みんなでやっていく。
今、埋まっているところを深掘りして「できることは何か」を具体的に考えていこうと思っています。
社員もこのことを理解して賛同してくれるといいのですが、「社長がまた宣伝のためにやった」と思われるとね。
でも、そう思う社員がある程度いることを前提にして、そこをきちんと伝えていくことが大事ですね。
エンジニアって謙虚な人間が多くて、「我々のコーポレートスローガンでSDGsを語っていいの?」って思う人たちがいそうなので、そこは「いいんだよ」とアピールしていきたい。
いずれにしろ、今までこのスローガンでやってきているので、社員も自覚を持っている。決して付け焼刃の取り組みではないので、きちんとやっていけると思います。
個人的にも会社的にも
できる範囲で積極的に情報発信していきたい
SDGsって、社会全体がそういう気持ちになるということが大事なので、活動内容を積極的に発信したり、いろんな会社と協調したりという形で情報発信していくことが重要になると思います。
フェイスブックでシェアするとか、お客様との会話の中で「セミナーで聞いたけど、少なくともホームページに書いた方がいいですよ」って伝えるとか、そういう細かなところからスタートして、もう少し効率よく発信していけたらいいですね。
コーポレートサイト、メルマガ、印刷物、場合によってはセミナーみたいなものもあるかもしれません。
うちの会社はさいたま市なので、東京のようにIT系の上場企業が多くない。そんなことから、いろんな所で講演する機会をいただくことも多々あるので、その場合は喜んで引き受けさせていただきます。
また、自社の採用やIRにも活用したいので、採用ページや投資家情報のページからSDGsのページにリンクさせて広げていくつもりです。
IT業界でも協力し合ってムーブメントを起こし、
SDGsを盛り上げていきたい
IT業界のどの会社も、会社が存続しているということは、社会に価値を提供しているからです。
そういう意味で、すでにSDGsに貢献しているし、これからも貢献できると思うんですね。それをアピールして社会全体のムーブメントをつくっていくのに、「みんなでやりませんか」っていうことを申し上げたいですね。
IT業界がみんなで協力し合う。まさに目標17番のパートナーシップです。
「DX※の力で」というとちょっとカッコよくなりますよね。「DXの力で、みんなでやりませんか?」「DXの力でSDGsを盛り上げよう」とか。
我々をはじめ各社それぞれ取り組みつつ、互いに協力し合って、2030年までの目標達成に向けてIT業界からもSDGsを盛り上げていたいですね。
※DX:Digital Transformationの略語でデジタルソリューションによる変革のこと。企業の視点では、既存ビジネスの枠組みに、デジタル技術の駆使によって新たな価値を創造することを指す。
【DXの力でSDGsを盛り上げたい!と語る、梅田社長】
■株式会社システムインテグレータ
埼玉県さいたま市に本社を構えるソフトウェア企業。1995年設立。パッケージ・ソフトウェア、クラウドサービス(SaaS)、AIを使った製品・サービスの企画開発・販売、コンサルティングなどを手掛け、時間の有効活動や生産性向上のためのオリジナリティあふれる製品を提供している。東証一部上場。
https://corporate.sint.co.jp/
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