そもそも「統合報告書」ってなに? なぜ注目が高まっているの?

「統合報告書」ってなに? なにを「統合」しているの?
「統合報告書というからには、なにかとなにかを統合しているということ?」 そんな疑問がわきますよね?
そのとおり。統合報告書とは、「財務情報(数字)」と「非財務情報(ストーリー)」をひとつにまとめた(統合した)レポートのことなんです。
| 財務情報(数字) | 売上、利益、資産など、企業の「過去の実績」を示すもの |
| 非財務情報(ストーリー) | 経営理念、環境への取り組み、人材育成、技術力など、「数字には表れにくい企業の価値」を示すもの |
これまでは、企業の業績を見たいときは「決算短信」、「決算説明資料」、「有価証券報告書」、ネット情報、書籍などで確認。
社会的な活動を知りたいときは、「CSRレポート」や「サステナビリティレポート」で確認するのが一般的でした。
しかし、これらを別々に読んでも「なぜその売上が上がったのか?」「その利益を使って、これからどう成長しようとしているのか?」というつながりは、なかなか見えてきません。
統合報告書は、この「数字」と「ストーリー」を統合し、企業の活動全体をひとつながりで伝える資料なのです。

なぜ今、「統合報告書」が注目されているの?
「統合報告書なんて聞いたことがない」という方もいるかもしれませんね。
しかし今、「統合報告書」には大きな注目が集まっています。
日本国内での統合報告書の発行企業数は、この10年間で約10倍に急増しました。 以前は一部の大企業だけが発行していましたが、今では上場企業のスタンダードになりつつあります。
背景にあるのは、社会の変化です。
現代においては、企業は単に儲かっていれば良いわけではなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)といった「非財務情報」を積極的に開示する責任が求められています。
また、グローバルに見ても、世界の主要企業の多くがこの「財務と非財務を統合して報告する」スタイルを採用しており、統合報告書は企業情報を知るための「世界標準(共通言語)」となりつつあるのです。

他の資料とはココが違う! 「統合報告書の3つの特徴」とは?
統合報告書には、他の資料にはない大きな特徴が3つあります 。
1)数字とストーリーが統合されている
単に「売上が◯◯億円でした」という結果だけでなく、「なぜその結果になったのか」「どのような価値観でビジネスをしているのか」という背景やストーリーが語られています 。
2)企業の「これから」が見える
多くの統合報告書には「価値創造ストーリー」というパートがあり、企業が描く未来のビジョンや、中長期的な戦略が明確に示されています 。過去の記録である決算書とは異なり、統合報告書は「未来」を語るレポートなのです 。
3)情報が1冊にまとまっている
経営戦略、財務、環境活動、人材戦略など、これまでバラバラの資料に散らばっていた情報が、一冊に再編集されています 。あちこち探さなくても、まずは統合報告書を開けば、その企業の全体像をサクッと手に入れることができるのです 。



