【統合報告書を読む会主催】統合報告書勉強会2026

2026年1月17日(土)、「統合報告書を読む会」(勉強会)が開催されました。

2001年からスタートし、今回で26年目の勉強会です。 もともとは、企業が発行する「環境報告書」を集め、環境問題に知見、関心の高い有志で、朝から晩まで報告書を読み込み、意見交換をしてきた濃厚な勉強会です。

環境の専門家や、企業のサステナビリティ推進担当者など、多様なバックグラウンドを持つ参加者が集まったことで、ディスカッションは非常に多角的で、熱気のあるものとなりました。

今年も、約60冊の統合報告書を取り寄せ、10時~16時まで、みっちり読み込み、意見交換を行いました。 最後には、今年度の統合報告書アワードを決定しました。

「統合報告書を読む会」概要

項目内容
名称統合報告書を読む会(環境報告書を読む since2001)
主催環境研鑽集団 土9(どっく)
日時2026年1月17日土曜 10時~16時
場所スマイル大森 エセナおおた 学習室
内容最新の統合報告書(2025年発行分中心)を約60冊収集。
【前半】参加者同士で「読み→メモし→まわす」を行い、企業の特色や経営方針、社会トレンドへの理解を深める
【後半】気づきや疑問、意見を共有し、ディスカッション。最後に今年度の統合報告書アワードを決定!

「統合報告書の読み方」ポイント解説

最初に、統合報告書を読むためのポイント解説がありました。

  • ここだけは押さえたい3つのポイント
  • 読み比べると個性が出る、おすすめの観点
  • 同じ業界で比較するときの楽しみ方

などをご説明いただきました。

6時間という限られた時間内でたくさんの統合報告書を読むため、すべてを読み込むことは難しいです。

そのため、気になるページを読むことになりますが、読み方のコツを参加者みんなで共有し、「自分なりの評価軸を持つ」ことによって、効率的な時間配分ができ、読み比べもしやすく、学びも深まるのだと思いました。

主観と独断でアワード決定&参加者のコメント

ディスカッションの最後には、「統合報告書を読む会」に参加したメンバーの「主観と独断」により、以下の5つの賞を決めました。読者としての「刺さったポイント」や「すごいなと思った点」を話し合い、市民目線の言葉で、賞の名前も付けました。

  • 【大賞】 大成建設株式会社様
    社長メッセージの写真がヘルメット姿。その現場感と親しみやすさが、建設業界の誇りと誠実さを直感的に体現していた。
  • 【さすがで賞】 東レグループ様
    素材の成長戦略がすごい。世界を支える素材メーカーとしての貫禄があり、2040年近傍の先読みがさすがで、環境問題にも真正面からぶつかっている。
  • 【中国とうまくやっているで賞】 ツムラグループ様
    日中問題もあるなかで、漢方を扱う企業として、原料調達を含め中国との絶妙な関係性を維持・活用している。
  • 【がんばってるで賞】 アオイネオン株式会社様(静岡県静岡市、非上場)
    社員20名規模の会社ながら、継続してサステナビリティレポートや環境報告書を発行。規模に関わらず社会との対話に挑む姿勢が、大企業にも負けない輝きを放っていた。
  • 【読みたくなるで賞】 株式会社カネカ様
    カラフルな表紙、詩的なメッセージ、大きな文字。視覚と感性の両面から「ついページをめくらせる」工夫が突出していた。

他にも、さまざまな意見がありました。とても書ききれませんので、一部ダイジェストで掲載します。

【西日本旅客鉄道株式会社様】
今年度の統合報告書でも、「大切な価値観」として、福知山線列車事故のことに触れていた。事故の事実を風化させず、「命を預かる立場」としての価値観を誠実に発信し続けている。トップメッセージでの言及も含め、誠実さを感じた。

【太平洋セメント株式会社様】
セメント業が抱える大量のCO2排出という課題に対し、危機感を持って真正面から向き合う姿勢。「4コマ漫画」を掲載するなど、読者との対話を重視する工夫があった。

【戸田建設株式会社様】
「男女育休100%」を5年連続達成という数値に驚き。人的資本への投資を「財務・非財務ハイライト」で裏付けており、建設業界のイメージを覆す勢いがある。

【NSユナイテッド海運株式会社様】
2022年度からの利益増に着目。数値情報が前の方に掲載されている。アンモニア燃料船など、「クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在」に向けた活動に注目。

【アズビル株式会社様】
社長・副社長メッセージがQ&A(インタビュー)形式で、投資家が知りたい資本コストや成長戦略にダイレクトに応える作り。「6つの資本」が一覧化され、強みが整理されている。

文字(フォント)が大きくなっているもの、レイアウトやデザインで、見やすさの工夫をしている企業が増えた。

A4縦ではなく、A4横の装丁も増えている。PCやスマホでは見やすいかもしれないが、印刷版は開きにくい。

トップメッセージに力を入れている企業が目立つ。ヘルメット姿への好印象がある反面、腕組みしている写真には、威圧感を感じたり、不適切なのでは?の意見も。トップメッセージに社長の写真(同じような)が4枚も5枚も使われているケースも、あまり良い印象にならないのでは?

「●●に取り組む」「●●を目指します」の記載があっても、取り組み方針や数値目標などがどこにも書いていない。せっかく良い取り組みを行うのに、不信感を感じさせてしまうのでは?

勉強会のあとは、各自、好きな統合報告書を持ち帰りました。私も、紙袋にたくさんの統合報告書をいただきましたので、改めて、読み込んでみようと思っています。