ここがポイント(シェダル考察)

新田ゼラチン株式会社は1918年創業、ゼラチン・コラーゲン素材を中心とした機能性タンパク質製品を製造・販売するグローバル企業です。国内でトップシェアを誇り、世界でも有数のシェアを獲得しています。
同社のトップマネジメントメッセージは、基本理念とビジョンが明確に結びつき、具体的な価値創造について非常に分かりやすく語られています。また、サステナビリティ方針、マテリアリティ、そして価値創出モデルも説得力があり、明瞭に提示されています。この業界に馴染みのない方にも理解しやすい表現で構成されており、これからサステナビリティページを作成する企業にとって、大変参考になる事例と言えるでしょう。

ESG施策は、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の各領域において、明確な方向性と具体的な行動が整理されており、全体像を容易に把握できます。
環境(E)面では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への対応を含む気候変動リスクへの取り組み、CO2排出量削減、水使用量の削減、廃棄物リサイクル率の向上などを積極的に推進しています。
社会(S)面では、適切な調達、ダイバーシティの推進、地域社会貢献(地域清掃、工場見学、ぶどう収穫ボランティアなど)、そして人権尊重への取り組みを実施しています。
ガバナンス(G)面では、社外取締役の積極的な登用やリスクマネジメント体制の強化が図られています。
人的資本に関しても多角的な取り組みを展開しており、その一例として、女性活躍推進優良企業として「えるぼし」認定を取得しています。

東証33業種分類では「化学」に分類される同社ですが、主力原料が畜産・水産由来の副産物であるため、食品添加物やライフサイエンス業界と共通する課題を抱えています。たとえば、動物原料の安定調達、原産地管理、トレーサビリティの確保は、特に安全・品質面で極めて重要です。加えて、水やエネルギーの使用効率化、廃棄物削減、気候変動リスクへの対応など、製造業共通のリスクにも戦略的に対応しています。ISO9001・ISO 14001・FSSC22000といった国際認証取得を通じて、品質マネジメントの信頼性を確保している点も特筆されます。
自然資本を単に「守る対象」と捉えるだけでなく、「価値を創出する資源」として活用した取り組みの成果として、フッ素不溶化剤「ニッタリンカル」があります。フッ素による土壌や地下水の汚染は人体に健康被害を及ぼす恐れがあるため、土壌や水環境中のフッ素を不溶化できる技術が求められています。「ニッタリンカル」は、牛の骨をゼラチンの原料にする過程で生成される「DCP(第2リン酸カルシウム)」という成分を利用しています。このDCPがフッ素を閉じ込めて溶けにくくする働きを持つため、土壌や排水に含まれるフッ素を安全に固定化するための材料として活用できる画期的な製品です。

新田ゼラチン株式会社は、持続可能な社会への貢献と革新的な価値創造を両立しており、今後のさらなる発展が期待されます。

会社情報

運営主体新田ゼラチン株式会社
名称サステナビリティ
URLhttps://www.nitta-gelatin.co.jp/ja/index.html
URL(サステナビリティ/SDGshttps://www.nitta-gelatin.co.jp/ja/sustainability.html
所在地大阪府
カテゴリ化学

※2025年6月現在の情報に基づいて執筆されたものです。その後、変更されている可能性もあります。予めご了承ください 。

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