*本記事は、2021年1月に株式会社グリーゼで公開したものを、2024年10月に一部修正を加えて公開しなおしたものです
「新しい働き方として注目されているワーケーションを実体験して、そのメリット/デメリットを考察してきましょう」という目的で実施されることになった「ワーケーション実験」。
4番手の私は、石川県(金沢~和倉温泉)に行くことにしました。
「せっかく7泊8日も滞在するのだから、なにかテーマを決めよう」と考え、いま自分としても、グリーゼ(現シェダル)としても大切なテーマ「SDGs」に触れるワーケーションを企画しました。
石川県は、金沢市、加賀市、白山市など、SDGs未来都市に指定されている都市が多く、行く先々で、SDGsに触れられるのでは?と期待したのと、SDGs関連の知人と会うこともきっかけとなり、私のワーケーションは「金沢~和倉温泉の旅」に決めました。
さて、どんなSDGsに触れられたのでしょうか?
~目次~
1. 限界集落「まっきゃま」で「持続可能なまちづくり」に取り組む人々に触れる
2.「ホテル海望」で「仕事がはかどるコワーキングスペース」に触れる
3.能登半島周遊バスツアーで、海のプラスチックごみ問題に触れる
4.まとめ
1. 限界集落「まっきゃま」で「持続可能なまちづくり」に取り組む人々に触れる
ワーケーション期間中、もっとも驚いた出来事は、金沢市内から車で20分の限界集落、牧山町(通称、まっきゃま)で起きました。
「日の出を見ながら朝ごはんを食べよう」と誘ってくださったのは、「SDGs支援機構」代表の河上伸之輔さん。ワーケーション期間中に、河上さん主催の「SDGs勉強合宿」があり、合宿2日目の朝に参加者数名で牧山町視察に行くことになりました。
早朝の牧山町。山の向こうに日が昇り、黄金色に輝く田んぼに感動した後は、あぜ道を散歩。
【世帯数17、人口34人の限界集落の牧山町(通称、まっきゃま)の朝】
すると、笑顔のステキな女性にばったり会いました。
【橋田由美子さんと、SDGs支援機構代表の河上伸之輔さん】
河上さんが「おはようございます。きょうはSDGsの勉強もかねて僕の友人を連れてきまして・・・」と言うと、その女性は「あ~SDGsですか」と返答。その後も、二人は、朝焼けの話、朝ごはんの話と同じテンションで、SDGsの会話をしています。
「ん?待てよ・・・SDGsって、そんなに日常的な言葉でしたっけ?」
混乱しながら散歩を続けると、今度は、枯れ葉をお掃除中のご夫婦に遭遇。話が弾んで、ご夫婦のお宅にお邪魔してお茶をいただいたのですが、会話の8割がSDGs。牧山町に人を呼び、どうやったらSDGsに貢献できるか?お二人が住む大きな家を、どういうふうに役立てることができるだろう?と真剣に考えていらっしゃいました。
「ん?待てよ・・・人口34人中3人に会って、100%、SDGsを知っている。どうして?」
その謎は、町の集会場をのぞいた瞬間に、解けました。
聞くと、この町に移住した杉本嵩龍さんが中心となって、SDGsの勉強会やワークショップを実施しているとのこと。杉本さんが、住民ひとりひとりと丁寧にコミュニケーションを続け、少しずつSDGsに関心をもってもらっているようです。
【住民の方のSDGsに対する目標、考え方、コメントが書かれています】
「住み続けられるまちづくり」を目指して、さまざまなイベントが企画され、実行されている牧山町。限界集落から発信される情報に目が離せなくなりました。
< 福田が勝手に、SDGsの目標を関連付けてみた >
2.「ホテル海望」で「仕事がはかどるコワーキングスペース」に触れる
ワーケーション期間中お世話になったのは、和倉温泉「ホテル海望」さん。弊社で既にワーケーション体験を終えたスタッフから聞いていたのは、「仕事をする場所の確保が重要」との意見でした。旅館の和室では、畳に座って仕事をするため腰が痛くなりますし、ビジネスホテルのデスクも、長時間の仕事には適していないとのこと。
その点「ホテル海望」には、海に面したコワーキングスペースがありました。朝食のあと、パソコンを持って1Fに下りるだけで、旅行気分からビジネスモードへとスイッチを切り替えることができました。
【能登湾は穏やかで、海の青色と空の青色が穏やかな気持ちにさせてくれます。コーヒー無料】
ホテル海望の総務部長兼業務管理部長の宮田さんにお話を聞くと、老舗旅館「ホテル海望」では、ワーケーション体験会を実施したり、旅行会社とタイアップしたワーケーションプランを企画したりと、ワーケーションについて真剣に取り組んできたとのことでした。
コワーキングスペース「NAGISA DINING」も、最近できたばかりの新しいスペース。現状はレストランも兼ねているため、食事の時間帯は利用できないなどの制限がありますが、能登湾のおだやかな海を目の前に、コーヒーをいただきながらのパソコンに向かうのは、ワーケーションならではの醍醐味だなと感じました。
【奥には会議スペースがあり、Web会議も可能です】
日ごろからテレワークに慣れている私ですが、地方でのワーケーションはモチベーションも上がります。「仕事の後は遊べる&おいしいものを食べられる」と思うと、いつも以上の集中力が発揮できました。
ネット環境さえあれば全国どこでもワーケーションはできますが、「ホテル海望」のようにホテル内にコワーキングスペースがあるのは、宿泊施設としての強みになると思いました。
ホテル海望では「仕事がはかどるホテル内のコワーキングスペース」に触れ、ワーケーション中の仕事の仕方を学びました。
< 福田が勝手に、SDGsの目標を関連付けてみた >
3. 能登半島周遊バスツアーで、海のプラスチックごみ問題に触れる
ワーケーション期間中、1日完全オフにして、能登半島周遊バスツアーに行きました。輪島の朝市、キリコ会館、世界農業遺産の白米千枚田、国定公園の見附島などを見学しながら、能登半島の海沿いをぐるっと1周したのですが、海のさまざまな表情に触れました。
いつもなら、ごみを避けて歩く浜辺ですが、今回はごみのなかを歩いてみました。ペットボトルやポリタンクの他、もとは何だったのか判別できない小さなプラスチックのかけらがたくさんありました。布製のひも、木の枝なども目に入りましたが、踏みしめてみると圧倒的にプラスティックが多いのも確認できました。
【能登半島の海岸の一部には、ごみが溜まってしまっている場所が・・・】
この先の奥能登塩田村では、500年前から続く伝統的な「揚げ浜式製法」で塩づくりを行っています。ミネラルたっぷりの塩は、塩田の近くで販売され、私たちの食生活を豊かにしてくれています。海水にプラスチックが増えてしまうと、塩づくりの文化も、持続不可能になってしまうのでは?と心配です。
さらに近くの能登島には水族館があり、たくさんの子どもたちイルカのショーを見て楽しんでいました。こちらもイルカショーの海の先で、釣りを楽しむ人の姿も。海のレジャーと海洋プラスチックの問題も、関連の深い課題です。
ひとつながりの海。海の豊かさを守るためには、私たちひとりひとりの意識改革が必要です。バスの中で友人と、自分たちの無頓着な暮らしについての反省会をしました。
< 福田が勝手に、SDGsの目標を関連付けてみた >
4.まとめ
「たくさんのSDGsに触れたい」と思って企画した、7泊8日の金沢~和倉温泉、SDGsの旅。私が勝手にSDGs先進国だと思い込んでいた石川県では、期待していた通り、上記以外にもたくさんのSDGsに触れることができました。
「ん?待てよ・・・これって、石川県だからではなく、東京でも同じでは?」
そうなんです。
今回は「SDGsに触れる旅」と称して、金沢、和倉温泉に行ったので、滞在中ずっとSDGsのアンテナを立てて過ごしていました。
そのため、今までなら何気なく見ていた田舎暮らしを見て、「脱炭素社会で、地球にやさしい生活を送ることって、こういうことかも!?」と感じたのです。
「ホテル海望」のワーケーションの取り組みを見て「都会で働くビジネスパーソンを和倉温泉に呼ぶことによって、働く人の働きがいやストレス解消につながり、一方で和倉温泉にとっては地域活性化につながる」ということを実感しました。
さらに今まで「自分ごと」として強く捉えることができなかった海洋プラスチックの問題にも、目を向け、心で感じることができました。
東京でも、日々SDGsのアンテナを立てて暮らすことによって、今まで気が付かなかった社会問題や、SDGsへの取り組みを発見できるはずだと気が付きました。日々の暮らし方に変化を与えたことが、私のワーケーション体験の成果でした。
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