2024年10月にダイバーシティに関する共催セミナーを開催しました。

私が担当したパートは、以下でした。

-------------------
1:ダイバーシティに取り組む日本企業の現状
・企業がダイバーシティに取り組む理由を再確認
・日本企業のダイバーシティへの取り組みの現在地
-------------------

ダイバーシティとは、多様性という意味。さまざまな違いを持つ個人が、組織や集団において共存し活躍している状態を指します。

いろいろなセミナーを受けたり、勉強会に参加したり、企業のサステナビリティ推進担当の方などにお話しをお聞きするなかで、ダイバーシティ経営に取り組む目的は、企業によって異なることが分かってきました。

経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義していますが、これだけに限らず、各社さまざまな目的を掲げて、ダイバーシティ経営に取り組んでいます。

このコラムでは、上場企業と中小企業にわけて、ダイバーシティ経営に取り組む目的を整理して、優先順位を「高・中・低」で付けてみました。

企業によってダイバーシティ経営に取り組む目的は違うので、上場企業と中小企業という分けかたはやや乱暴ですが、参考に見ていただければ幸いです。

まずは、一覧表をご覧ください。表の下に、各項目の説明を記載していきます。

上場企業はすべての項目において、優先順位が高めですが、中でも赤色の文字のところが最重要です。

項目上場企業
での優先順位
中小企業
での優先順位
1:社会的責任
2:優秀な人材の雇用
3:働きやすい職場
4:多様化する市場への対応
5:企業の信用やアカウンタビリティ
6:離職の防止
7:法律などへの対応

社会的責任

上場企業:優先順位(

中小企業:優先順位(中)

上場企業は、サステナビリティ推進、ESG推進、CSRやSDGsの観点から、社会的責任を強く意識しています。ステークホルダーからの圧力も高い傾向にあります。

中小企業でも社会的責任を重視する傾向は高まっていますが、優先度としては、上場企業ほど高くはないでしょう。

優秀な人材の雇用

  • 上場企業:優先順位(高)
  • 中小企業:優先順位(

パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計」によると、「2030年には、625万人の人手不足」となる見込みが発表されています。

優秀な人材の確保は、上場企業にとっても、中小企業にとっても、経営上の最重要項目です。

特に中小企業では、深刻な人手不足に陥っている企業が多く、ダイバーシティ経営に取り組む最も優先順位の高い項目と言えるでしょう。

働きやすい職場

  • 上場企業:優先順位(高)
  • 中小企業:優先順位(中)

上場企業では、従業員満足度向上やエンゲージメント強化のため、働きやすい職場、風通しの良い職場づくりに注力している企業が多いです。

中小企業も雇用確保、離職率防止の観点から、働きやすい職場づくりに取り組みたい意思はありますが、リソース面での制約もあり、なかなか注力できないケースも多いです。

多様化する市場への対応

  • 上場企業:優先順位(中)
  • 中小企業:優先順位(低)

上場企業はグローバル市場や多様化する顧客ニーズに対応するため、ダイバーシティへの対応が競争力強化につながります。

中小企業でも、グローバル市場を重視する企業は「多様化する市場への対応」が必須ですが、ローカル市場を重視する中小企業にとっては、優先度の低い項目です。

企業の信用、アカウンタビリティ

上場企業:優先順位(

中小企業:優先順位(中)

上場企業は社会的な信用や透明性を重視しており、ダイバーシティがブランド価値や投資家からの評価に影響を与えます。

中小企業では、直接的な影響が少ないため優先度は上場企業よりも低いと言えます。

※アカウンタビリティとは、企業がステークホルダー(顧客、従業員、株主、社会など)に対して、業績や行動についての説明責任を果たすことです。これは、透明性の高い経営を行うことや、法令遵守、倫理的な行動を維持することなどを含みます。アカウンタビリティがしっかりしている企業は、信頼性が高く、長期的な関係を築く上で有利です。

離職の防止

  • 上場企業:優先順位(高)
  • 中小企業:優先順位(

料動力を確保するためには、離職率を下げることが重要です。従業員の離職を防止するため、ダイバーシティを推進して働きやすい環境を整備することが上場企業、中小企業ともに重要視されています。

法律などへの対応

  • 上場企業:優先順位(
  • 中小企業:優先順位(中)

上場企業は法規制やコンプライアンスへの対応が厳しく求められています。

中小企業も対応が必要ですが、リソース不足や優先度を考慮して優先順位「中」としています。

まとめ

企業がダイバーシティ経営に取り組む目的は、企業によって異なります。

ダイバーシティ経営に取り組む際は、何のためにダイバーシティ経営に取り組むのかを具体的に決めることが、重要です。

サステナビリティに関する取り組みは、「中長期的に取り組まないと結果が出ない」というものが多いです。

途中で目的を見失わないためにも、できるだけ具体的な目的を決めておきましょう。

ダイバーシティ経営の目的を決める際に、このコラムを参考にしていただけたら嬉しいです。

株式会社シェダルでは、企業のサステナビリティ推進を支援いたします。ダイバーシティ経営に関することも、お気軽にご相談ください。

次のコラムも、あわせてお読みください。

コラム
ダイバーシティ
日本企業のダイバーシティが進まない3つの壁とは?
コラム
企業の「サステナビリティページ」を作ろう~サステナビリティページに必要な5つのコンテンツとは?~
コラム
サステナビリティ推進担当者の7つの仕事とは?

「目標達成が順調」:25.4%
「社内浸透ができている」:22%
最新の調査レポートを公開しました。

企業でサステナビリティに関わっている方々441名を対象にアンケートを実施。数値目標の達成状況、社内浸透の状況、課題解決の方法、研修スタイルの変化など、リアルな実態が明らかに!ぜひ、ダウンロードしてご覧ください。