ダイベストメント
ダイベストメント (divestment)とは、インベストメント(investment・投資)の対義語で、投資している株や債券といった金融資産を手放すこと(投資撤退)を指します。広くは、企業への融資を引き揚げることも含まれます。
国連の責任投資原則(PRI)が提唱されて以来、世界では投資において「ESG(環境、社会、企業統治)」を重視する考えが広まりました。
それに伴い、ESGに配慮せず、地球環境や社会に悪影響を及ぼす懸念のある企業に対してダイベストメントが活発化。SDGs達成に向けて、その動きはさらに加速しています。
最近の事例としては、2024/6/26、ノルウェー年金基金大手KLPは、米キャタピラーからの投資撤退いうニュースがありました。
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの侵攻作戦で同社製のブルドーザーなどが利用され、人権侵害や国際法違反に加担している可能性があるためとのことです。
ダイベストメントのデメリットとして、以下のようなものがあげられます。
(投資側)売却時に既に投資価値が下がっていることによる売却損、投資ポートフォリオの効率性が低下するリスク、など
(企業側)株価の下落、融資引き上げ、新規融資が得られない、など
一方的なダイベストメントだけではなく、企業との積極的な対話を通じて、投資家が期待する企業行動を共有することにより、より一層サステナブルな取り組みを促すようにする、つまりは、建設的な対話(エンゲージメント)も重要かもしれません。
効果的なエンゲージメントを通して、中長期的な視点から経営の改善に働きかけ、企業の持続的な成長と企業価値向上を促すことで、企業と投資家に限らず、社会全体に対しても中長期的に利益をもたらす可能性もあるからです。
なお、投資先の選定段階において、特定の基準に合わない企業や産業を排除する手法として、ネガティブ・スクリーニングというものがあります。
例えば、環境に悪影響を与える産業(タバコ、武器など)や人権侵害企業を投資対象から除外するというものです。
ネガティブ・スクリーニングは投資先の選定段階で、ダイベストメントは投資後の見直し段階で、という違いがあります。
※2025年1月現在の情報に基づいて執筆されたものです。その後、変更されている可能性もあります。予めご了承ください 。
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