ここがポイント(シェダル考察)

サッポロホールディングス株式会社は、酒類、食品飲料、不動産の3つの事業を柱に、国内外で幅広く事業を展開する持株会社です。経営理念「潤いを創造し 豊かさに貢献する」のもと、社会課題の解決に資する価値創造を通じて、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立を目指しています。

「全ての事業が提供する時間と空間で、人々の地域社会のWell-beingに貢献』というビジョンのもと、9つのマテリアリティを体系的に整理した構造は、戦略性と網羅性を兼ね備えたものとして高く評価できます。
「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」という3つ領域の中にある7つのマテリアリティに加え、それらを横断的に支える基盤となる「持続可能なサプライチェーン構築」「安全な製品・施設の提供」という2つのマテリアリティ、さらに企業統治としての「ガバナンス」が全体を支える構造は、サステナビリティ経営の全体像が一目で把握できる構成となっています。
この図によって、企業の持続可能な発展への明確なコミットメントが伝わり、ステークホルダーにとっても理解しやすいものになっています。
さらに、各マテリアリティに対して、「リスクの低減」とともに「企業成長に繋がる機会創出」の両面から取り組み内容が整理されており、その中でもどれに最も注力しているのかを明示しており、非常に分かりやすく、評価しやすい内容です。2025年1月にサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)の見直しを実施するなど、定期的な更新を組み込んだ運営体制も確立されており、持続可能な経営の実効性が感じられます。

食料品業界の気候変動対応の取り組みとしては、一般的に下記の4つがあげられますが、水に関する取り組みがあるのが、この業界の特色です。
1.規制強化に関する取り組み
2.原材料調達の安定化に関する取り組み
3.水に関するリスクへの取り組み
4.GHG 排出量削減に関する取り組み
同社でも、業界同様の取り組みが行われていますが、さらなる独自性・先進性のある施策も行われています。
例えば、サッポロビールの事例では、「新価値創造(原料からの価値創造)」「安全・安心の品質(協働契約栽培による高品質の追求)」「地域貢献(原料の開発、生産・商品化による地域との共栄)」「3Rの推進(食品ロス対策への活用)」「自然との共生(気候変動に対応可能な特性を持つ大麦・ホップの開発、次世代教育」があります。
この中で、「原料の自社育種+協働契約栽培での調達」は、単に原料の調達を最適化するにとどまらず、「自然との共生」や「社会との共栄」を経営に統合する先進的な施策といえます。

また、ESGデータ集やGRIスタンダード対照表など、グローバルな開示基準に基づいた情報提供がなされており、情報開示の透明性と信頼性を高めています。

これらは、単にサステナビリティに対応する企業ではなく、事業活動を通じて社会的価値と経済的価値の両立を真に実現しようとする持続可能な企業経営に取り組んでいることを力強く示しています。

会社情報

運営主体サッポロホールディングス株式会社
名称サステナビリティ
URLhttps://www.sapporoholdings.jp/
URL(サステナビリティ/SDGshttps://www.sapporoholdings.jp/sustainability/
所在地東京都
カテゴリ食料品

※2025年6月現在の情報に基づいて執筆されたものです。その後、変更されている可能性もあります。予めご了承ください 。

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