*本記事は、2023年3月に株式会社グリーゼで公開したものを、2024年10月に一部修正を加えて公開しなおしたものです
SDGs/サステナビリティへの関心が急速に高まり、各社、SDGs/サステナビリティに関する情報発信をする企業も増えています。
社内スタッフの知識を深めるため、代表取締役社長の福田が講師を務め、「SDGs/サステナビリティ基礎講座 社内勉強会」を開催しました。
セミナー概要】
項目 | 内容 |
セミナータイトル | SDGs/サステナビリティ基礎講座 |
講師 | 株式会社グリーゼ(現シェダル)代表取締役社長 福田多美子 |
開催日時 | 2023年2月22日(水)10時~11時 |
対象 | 社内スタッフ(ディレクター/ライター) |
形式 | オンライン講座(zoom) |
カリキュラム(概要) | 1 : SDGsを取り巻く5つの背景 2 : SDGsの基礎知識 3 : 企業がSDGs/サステナビリティに取り組む意義とは 4 : SDGs/サステナビリティに取り組む5つのメリット 5 : SDGs/サステナビリティ事例特集 6 : SDGs/サステナビリティの本質をあらわす3つのキーワード |
本記事では、「SDGs/サステナビリティ基礎講座」の中から、企業がSDGs/サステナビリティに取り組む背景、意義、メリットについて、ダイジェストで解説します。ぜひご覧ください。
【INDEX】
1:SDGs/サステナビリティを取り巻く背景
2:企業がSDGs/サステナビリティに取り組む意義とは
3:企業がSDGs/サステナビリティに取り組むメリット
1:SDGs/サステナビリティを取り巻く背景
SDGs/サステナビリティへの関心が高まっている背景を、5つにまとめて解説します。
背景1.環境問題・社会問題
SDGsが誕生した背景の一つ目として、「さまざまな環境問題や
特に、気候変動に関する影響は深刻で、海面上昇、異常気象、干ばつ、食料不足、貧困、健康被害、動植物の減少など、多方面への影響が出ています。
「これ以上地球温暖化を進めてはいけない」と、気候変動対策を目的としたパリ協定が2015年に採択されました。協定では、世界各国が温室効果ガスの排出削減目標を設定し、進捗状況を定期的に報告することが求められています。
背景2.世界人口の増加
出典:UNFPA 国連人口基金 駐日事務所「世界人口推計 2022 年版」
https://tokyo.unfpa.org/ja/news/wpp2022
背景の2つ目は、世界人口の急激な増加と、都市集中の問題です。2022年11月、地球人口が80億人を突破したというニュースが報じられました。今後も人口が増加し続けると、食糧問題、水不足、格差、貧困、環境破壊、自然資源不足など、さまざまな問題につながっていくと予想されています。
背景3.枯渇する地球資源
現在、世界では石油や石炭、天然ガスなどの資源をめぐり、奪い合いになっている状況です。
これらの資源は、今後50年から130年の間で使い切ってしまうのではないかという専門家もいます。
人類が地球環境に与えている負荷の大きさを分かりやすく示した、「あなたは地球何個分の暮らしをしていますか」というデータを見てみましょう。
出典:グローバル・フットプリント・ネットワーク
https://www.overshootday.org/how-many-earths-or-countries-do-we-need/
世界中の人々が日本人と同水準の暮らしをすると、地球が2.9個必要に。私たちは日々、2.9個分の資源を使って生活しているのです。
持続可能な社会を実現するためには、限りある地球資源を大事に使っていく必要があります。
背景4.MDGs(ミレニアム開発目標)
出典:外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html
SDGsの以前には、MDGs(ミレニアム開発目標)という取り組みが行われていました。MDGsは、貧困や飢餓の削減など、国際社会が直面する重要な課題を解決するための国際目標です。2000年から2015年までに達成すべき8つの目標が掲げられました。
日本ではあまり話題になりませんでしたが、先進国が途上国を支援する取り組みが世界的に行われ、貧困削減や人々の生活水準の向上など一定の成果をあげています。
SDGsは、MDGsの後継として2015年に採択された、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。2030年までに達成すべき17の目標を掲げ、「地球上の誰一人取り残さない」と誓っています。
MDGsの成果も、SDGsの背景のひとつと言えるでしょう。
背景5.経済至上主義の限界
従来、経済成長を最優先に考える経済至上主義が主流でした。経済成長を追求した結果、貧困や格差が広がり、環境破壊や地球温暖化が深刻化したとも言えるのです。
そして、COVID-19のパンデミックが広がる中で、社会的な課題やリスクが明確になり、経済至上主義の限界が明らかになりました。
「経済・社会・環境」の3つをバランスを考慮した、持続可能な発展が求められています。
2:企業がSDGs/サステナビリティに取り組む意義とは
環境問題や社会問題が深刻化してきた原因には、過去数十年間の経済至上主義の考えがありました。このままでは、社会や地球が持続可能性を失い、深刻な危機に陥る可能性があります。
持続可能な社会を実現するために、企業が果たすべき役割や責任が一段と重要になっています。
「環境」と「社会」を大切にすることは、経済成長を諦めることではありません。「環境」と「社会」を考慮しながら、経済成長を達成することが、サステナビリティ時代における企業の役割なのです。
経済成長を追求することと、環境と社会の両方を考慮することは相反するものではなく、両立することができます。これが、マイケル・ポーター教授らによって提唱したCSV(共創価値の創造)の考え方です。
企業の社会的責任(CSR)とは、企業が自らのビジネス活動によって社会にどのような影響を与えているかを考え、その影響に対して責任を持つことです。
一方、企業の社会的価値(CSV)とは、企業がビジネスで利益を得るとともに、社会の問題解決にも貢献することを目標にする戦略です。
企業が社会問題を解決するためのビジネスを考案し展開すれば、ビジネスの範囲が広がるにつれて、多くの社会的な問題に対処できるようになります。多数の企業がCSVに取り組めば、より広範囲に渡って社会課題の解決が促進されるでしょう。
つまり、企業がSDGs/サステナビリティに取り組む意義は、企業自身のビジネスチャンスの創出であり、企業価値(ブランド力)向上や成長にも直結することなのです。
3:企業がSDGs/サステナビリティに取り組むメリット
ビジネス戦略にSDGsを取り入れ、積極的に取り組みを実施している企業が増えています。なぜなら、SDGsに取り組むことで多くのメリットが得られるからです。
以下、企業がSDGs/サステナビリティに取り組むメリット5つを紹介します。
メリット1.消費者に選ばれる
出典:電通、第5回「 SDGs に関する生活者調査」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0427-010518.html
近年、SDGsやサステナビリティに関する認知度が高まっており、消費者の意識が変化してきました。価格だけでなく、環境に配慮した商品を高く評価する消費者が増えています。
「SDGsに関する生活者調査」の結果でも、SDGsに取り組む企業に対し、
「イメージが良くなる」
「好感が持てる/応援したくなる」
「信頼がおける」
「商品開発や研究に力を入れている印象」
といったポジティブなイメージを持つ人が多くなっています。
SDGsやサステナビリティに積極的に取り組む企業が消費者から選ばれ、取り組まない企業は市場競争力を失う可能性があるでしょう。
メリット2.企業に選ばれる
出典:日本能率協会コンサルティングは7 月 19 日、
「 ESG 時代のサプライチェーンマネジメントに関する自主調査」
https://jmar-im.com/compliance/scm/
企業がSDGsに取り組むことで、企業間の取引においても選ばれる傾向が高まっています。取引の際、SDGsに関する取り組みについて、ヒアリングで聞かれることも増えているのではないでしょうか。
2017年に経団連が改定した企業行動憲章では、国内の企業も全社でSDGsに取り組むことが求められるようになりました。これにより、企業は環境や人権などの社会的責任の観点から基準を設定し、サプライチェーン全体に責任を持つSDGs調達が浸透しています。
企業の存在価値が、利益だけではなく、環境問題や社会問題の解決にまで広がっていることは明らかです。SDGsに取り組むことで共感を得られるだけでなく、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
一方、SDGsに取り組まない企業は、他の企業から取引から外される可能性があるため、SDGsに取り組むことは企業にとって非常に重要な課題です。
メリット3.学生に選ばれる
出典:23卒就活生の73.1%が「SDGs」について認知、
「企業選びで重視」は22卒より7.2ポイントUP
https://sdgs-connect.com/archives/42529
「Z世代」の学生たちは、就職活動において、「企業のSDGsに対する姿勢や取り組み」を重要視しています。
この世代は、学校教育でSDGsについて学ぶ機会が多く、将来の社会や地球環境は自分たちにとって重要な問題だと考えているのです。
学生たちが就職先を決める際、企業のホームページにSDGsの取り組みが掲載されているかを確認し、企業のSDGsに対する姿勢を見極めるようになっています。
そのため、SDGsにしっかりと取り組んでいる企業は学生たちから選ばれやすく、取り組んでいない企業は学生から選ばれにくくなります。
企業がSDGsに取り組み、情報発信することは、人材確保の面でも、有利に働くと言えるでしょう。
メリット4.社員に選ばれる
出典:JTBコミュニケーションデザイン「SDGsと社員のモチベーションに関する調査」
https://www.jtbcom.co.jp/article/hr/1236.html
企業がSDGs達成に取り組むことは、社員のモチベーション向上に寄与することが明らかになってきました。
特に、Z世代の上の世代である「ミレニアル世代」は、社会貢献、デジタル技術、ダイバーシティ、環境問題に関心を持っており、企業の社会的責任についても高い意識を持っています。
社員へのSDGs達成の告知や教育が実施されるほど社員のモチベーションが高まるという調査結果や、社員全員が自らコミットメントしてSDGsに取り組む企業では離職率が低いとのデータも出ています。
社員の意識やモチベーションを高め、離職率を下げるためにも、企業はSDGsへの積極的な取り組みが重要になっていくでしょう。
メリット5.投資家や金融機関に選ばれる
投資家が注目するのは、高い利益と財務実績だけではありません。企業が環境や社会、ガバナンスに配慮したESGパフォーマンスをどれだけ発揮しているかも重要なポイントです。
ESG投資は世界や日本で急速に増えており、ESGやSDGsに取り組むことは、企業の将来の持続可能性と成長の可能性を判断するための重要な指標となっています。
そのため、ESGやSDGsへの取り組みを優先する企業は、投資家に選ばれる可能性が高くなる一方、取り組まない企業は投資家から選ばれなくなる恐れがあります。
まとめ:SDGs/サステナビリティへの取り組みは、企業の持続可能性・成長につながる
企業の存在価値として、環境問題や社会問題の解決につながるビジネスを求められる時代が到来しています。この動きは、今後さらに加速していくでしょう。
企業がSDGs/サステナビリティに取り組むことは、企業のブランディング、ビジネスチャンスの拡大、人材獲得、従業員満足度の向上、投資家からの評価向上などのさまざまなメリットをもたらし、企業の持続可能性につながります。
ただし、メリットがあるから取り組むという姿勢ではなく、「企業が環境問題、社会課題の解決を行うことが、企業としての存在価値」と考えることが大事です。
【最後に・・・】
勉強会の参加者からは「SDGsやサステナビリティについて、さらに知識を深めていきたい」「SDGsやサステナビリティに取り組む企業の支援をしていきたい」などという意見が多く聞かれました。
グリーゼ(現シェダル)では、SDGs/サステナビリティ支援に特化したコンサルティング、コンテンツ制作、社員研修を提供しています。「今後SDGsに取り組みたい」「継続的にSDGsに関する情報発信をしていきたい」というSDGs推進担当者や経営層に向けて、グリーゼ(現シェダル)のサービス内容がわかる資料をご用意しました。ぜひご覧ください。
「目標達成が順調」:25.4%
「社内浸透ができている」:22%
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