*本記事は、2024年9月に株式会社グリーゼで公開したものを、2024年10月に一部修正を加えて公開しなおしたものです
株式会社シェダルは、サステナビリティ推進支援の専門会社です。
サステナビリティ推進支援の立ち上げには、福田がプライベートで行った工場見学での経験が深く関係しています。20代30代のころは子育てと仕事で手一杯で、サステナビリティへの関心はあまり無かったと語る福田。
しかし、産業廃棄物処理工場への訪問をきっかけに、価値観が一変し、サステナビリティ推進支援を専門で行う株式会社シェダルを立ち上げるにに至りました。
この記事では、福田がサステナビリティ推進支援を立ち上げるまでの経緯や、ビジョン「知らないを知るに変えることで、人々の行動を変え、社会を変える」に込めた思いなどを語ります。
「NIMBY」から「地域で愛される循環工場」に変容した石坂産業を見学して
私がサステナビリティに関心を寄せるようになったきっかけは、建設系の産業廃棄物処理を行っている石坂産業株式会社の工場を見学したことです。
昔の石坂産業は、産業廃棄物を取り扱うため地域住民から疎まれる存在だったといいます。公共に必要な施設であっても、自らの居住地に建設されることに反対する態度を「Not In My Backyard(我が家の裏庭には置かないで)」の頭文字を取って「NIMBY(ニンビー)」と呼びます。昔の石坂産業は地域住民にとってまさに「NIMBY」の対象となる存在でした。
現在の石坂産業では環境に配慮した手段で産業廃棄物を処理していることが見学でわかりました。例えば、CO2を排出しない、電気で動く重機を活用したり、有害物質を大気に排出する煙突が無かったりといった具合です。
なかでも驚いたのは、産業廃棄物の分別方法です。重さを測ったり、風を当てたり、磁石を用いたりして、最後は人の手によって分別し、とても手間をかけていました。分別されたものは、資源として生まれ変わります。
石坂産業は「産業廃棄物処理工場」ではなく、すべての産業廃棄物を分別して、再利用できる資源に生まれ変わらせる「循環工場」だったのです。
SDGsとの出会い、自分が取り残されていることに衝撃
さらに、見学会ではSDGsのワークショップもありました。SDGsの17のゴールを、それぞれの参加者の価値観に沿って優先順位をつけるというものです。
【SDGsの17のゴール】
引用:国際連合広報センター
SDGsという言葉は知っていましたが、SDGsについて学んだのは初めてでした。ワークショップを通して今まで自分自身がサステナビリティについてあまり考えてこなかったことにショックを受けました。一緒に行った友人が環境についてよく考えているのがわかったり、自分の価値観が確立された人の意見を聞いたりして、自分だけ取り残された気分に陥ったのです。
気づかなかった環境問題が見えるようになり、行動に変化
石坂産業の見学会で衝撃を受け、環境問題の勉強をするために本を読んだり、地域のボランティアに参加したりと、行動に移しました。勉強していくなかで、日常での視点も変わってきたように思います。例えば趣味の登山では、今まで意識していなかった、山小屋に設置されている太陽光発電や環境配慮型のトイレなどが気になるようになりました。
そして、日常の中で最も心を奪われたのが家庭から出る生ごみを堆肥にする「コンポスト」です。自宅でバック型のコンポストを活用し、生ごみを堆肥に変え、家庭菜園で使い始めました。
私だけの小さな「循環工場」ができたことが嬉しくて、微生物や環境の勉強にも力が入りました。
生ごみの約80%は水分です。焼却には膨大なエネルギーを消費し、CO2も排出されてしまいます。しかし、コンポストを活用すればCO2は排出されず、生ごみが野菜を育てるための資源になります。私たちの日々の暮らしが、環境に大きな影響を与えていることを実感しました。
もっと多くの人にコンポストの素晴らしさや循環する生活の楽しさを伝えたくて、コンポストの資格を取得。住んでいる地域でコンポストを広めるボランティア活動を始めました。
個人活動を経て、サステナビリティ推進事業を開始
新しい仲間に刺激を受け、仕事でSDGsに取り組みたいと思うように
コンポスト以外にも、環境や社会問題を考えるセミナーを受講したり、通っていたシェアオフィスのコミュニティに参加したり、活動の幅を広げていきました。
そのなかでシングルマザーを支えるNPOを立ち上げている方や、空き家を地域の拠点に変えるビジネスをしている建築業者さん、ルワンダのコーヒー農園を支援するコーヒー屋さんなど、仕事で社会課題解決に挑む人たちとも知り合い、影響を受けていきました。
今まで私は社会とのつながりを保つためという個人的な理由で働いていましたが、社会のために行動する仲間に囲まれた結果、環境や社会に貢献することを仕事で取り組みたいと思うようになったのです。
社内向けに勉強会を開くも、他の社員と温度差が
サステナビリティについて考えるなかで、仕事でも環境問題に取り組みたいという気持ちが日に日に大きくなっていきました。
そこで、SDGsを体系的に学べる連続講座を受講し、SDGsコンサルタントを取得。習ったことをスライドにまとめて、グリーゼ(現シェダル)の社内で勉強会を開き、「個人的な取り組みではなく、SDGsを事業化して、企業単位でSDGsに取り組む社会を作って行きたい」とプレゼンしました。
ところが、私と他のメンバーの熱量に差がありすぎたため、多くのメンバーが「福田さん、突然どうしたの」とあっけにとられる事態になってしまいました。
石坂産業見学会を開催し、メンバーやお客さまの「知ること」を促す
プレゼンを通して勉強会だけでは私の考えが伝わらないと感じたので、グリーゼ(現シェダル)のメンバーとともに、私の価値観を大きく変えた石坂産業への見学会を開催しました。私と同じ体験をすることで、熱量が高まるのではないかと考えたからです。その後、お客さまにもお声がけし、さまざまなビジネスをされている方々に見学会へ参加していただきました。
見学会を実施した結果、多くの方の意識と行動が変わっていくのを目の当たりにしました。例えば防音素材メーカーの社長さまは、素材を環境にやさしいものに変えることを前向きに考えはじめてくださったのです。
このように見学会を通して、メンバーやお客さまの「知ること」を促すことで、少しずつサステナビリティ推進事業を始める下地を作っていきました。
地方創生ゲームで学びを楽しく促進
石坂産業の見学会と並行して、SDGsについて知ってもらう社外向け無料セミナーを実施しました。セミナーを通して、参加した企業の方がサステナビリティについて理解することで、企業での取り組みやサービスに対して、影響を与えられるのではないかと考えたからです
セミナー開催後は、「環境問題、社会問題の現状を知らなかった」「当社でも取り組みができないか?」などの感想をいただくことが多くありました。
さらに、石坂産業の見学で行われたワークショップで楽しく学べたことを参考に、「SDGs de 地方創生」のインストラクターを取得し、セミナーで実施しました。「SDGs de 地方創生」はSDGsの考え方を地域の活性化に活かし、地方創生を実現する方法について参加者全員で対話し、考えるゲームです。
大企業のSDGs担当者の方や学校の先生などが参加してくださり、「自分もゲームのファシリテーターになり広めていきたい」と仰っていただいたこともありました。見学会と同じく、参加者の意識が変わっていくのを実感しました。
ビジョン「知らないを知るに変えることで、人々の行動を変え、社会を変える」に込める思い
今後の展望
私は初めて石坂産業の見学に行ったとき、さまざまな「知らなかったこと」を知ることができ価値観が一気に変わりました。「知らないを知るに変える」の重要性を身にしみて感じたのです。
シェダルのビジョン「知らないを知るに変えることで、人々の行動を変え、社会を変える」には、「知ること」で人々の行動を変え、より良い社会を作っていきたいという思いを込めました。「知らないを知るに変える」体験を個人単位ではなく企業単位で提供していけば、企業が変わり、企業が変われば社会に与えるインパクトも大きいと考えています。
今後も見学会やゲームなどを含む「知らないを知る」に変えるメニューをそろえて、サステナビリティ推進支援事業に本格的に取り組んでいきます。
調査レポートダウンロード
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本調査では、企業でサステナビリティに関わっている方々441名を対象に、企業のサステナビリティへの取り組み状況や、課題についてのアンケートを実施。数値目標の達成状況、従業員の理解、社内浸透の状況、理解不足解決の方法、社員研修スタイルの変化など、リアルな実態が明らかに!
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