はじめに

シナリオ分析でよく利用される、1.5℃に抑えるシナリオ。産業革命前からの世界の平均気温上昇を21世紀末で1.5℃に抑えるというもので、パリ協定で定められた目標に沿ったシナリオです。そもそも、平均気温が1.5℃上昇してしまうイメージをしっかり描けた上で、シナリオ分析をする、ということも非常に重要なことです。
問題をより一層、「自分ごと」化することで、より魂を込めたシナリオ分析ができるのではないでしょうか?
イメージをしっかり描けた上で、シナリオ分析を行う意義、ステップを理解し、気候関連のリスク・機会、その対応を検討することが重要といえます。

漫画でわかりやすく描かれた「TCFDコンパスマンガ」は、基本的なことが書かれていますが、とても参考になります。

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(気になるつづきは、是非「TCFDコンパスマンガ」をご覧ください)
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出典:サステナビリティ日本フォーラム 「TCFDコンパスマンガ」

シナリオ分析を行う意義

企業がシナリオ分析を行う意義については、上場企業・非上場企業、大企業・中小企業を問わず、主に次の点があげられます。

  • 規制への適応:  政府や規制当局が進める環境規制に対応するための準備ができます。
  • リスク管理:  気候変動によるリスクを特定し、対策を講じることができます。
  • 競争力向上:  気候変動や環境に配慮した戦略を策定することで、競争優位性を維持し、新たなビジネスチャンスを探ることができます。
  • 投資家への信頼性向上: 開示により、企業のリスク・機会、責任感を示すことができ、投資家からの信頼獲得の一助となります。

気候関連財務情報開示タスクフォースでは、シナリオ分析の意義として、”「脱炭素が進行する世界」「自然災害が激甚化する世界」の超極端を想定し、現実世界がどちらに進んでも事業を遂行できるレジリエントな体制の構築を可能にする”、としています。

シナリオ分析のステップ

  ※出典:環境省 シナリオ分析の実施ステップと最新事例

  • リスク重要度の評価 :リスク項目の列挙→起こりうる事業インパクトの定性化→リスク・機会項目の重要度付け
  • シナリオ群の定義 :シナリオ設定→関連パラメータの将来情報入手→ステークホルダーを意識した世界観整理
  • 事業インパクト評価:リスク・機会が影響を及ぼす財務項目→算定式検討とパラメータ収集→気候変動による財務影響把握
  • 対応策の定義:自社リスク・機会に関する対応状況把握→リスク対応・機会獲得のための対応策検討→移行計画策定→社内体制の構築と具体的アクションの着手

気候関連のリスク・機会

リスク・機会項目を選定するにあたり、「業界・自社目線」が重要になります。

業界目線で見る上では、以下の点を考慮することが有効です。

  • 自社の売上やコストの特徴を意識する必要があります。売上の寄与度が大きい製品やサービス・地域に関係する要素、コストに占める割合が高い要素に、関係する業界の事例を参考にすることが有効
  • 業界の事例は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の業界ガイダンス、環境省の事例、他社事例を有価証券報告書やTCFD対応の開示内容を参考にすることが有効

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