*本記事は、2023年3月に株式会社グリーゼで公開したものを、2024年10月に一部修正を加えて公開しなおしたものです
こんにちは。株式会社グリーゼ(現シェダル)の福田多美子です。
サステナビリティ(Sustainability)とは、「持続可能性」という意味です。環境問題、社会問題が大きくなっている現代において、持続可能な社会を実現するために、企業の役割が重要になっています。
企業が、環境問題、社会問題をどのようにとらえて、どんな取り組みをしているかを発信するのが、サステナビリティページの役割になります。
参考)企業のサステナビリティページ
富士通株式会社: https://www.fujitsu.com/jp/about/csr/
株式会社ユニクロ: https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/
グリーゼ(現シェダル)では、上場企業を中心にさまざまな業種のサステナビリティページを100ページ以上確認し、サステナビリティページにはどんなコンテンツがあり、どんな書き方をしているのかを調べました。
本コラムでは、サステナビリティページに盛り込まれるさまざまなコンテンツのなかから、最低限盛り込みたい5つのコンテンツについて、説明いたします。
<INDEX>
■サステナビリティページに必要な5つのコンテンツ
1:トップメッセージ
2:基本方針と重点課題(マテリアリティ)
3:具体的な取り組み
3-1:重点課題(マテリアリティ)と一致させる場合
3-2:ESGのカテゴリで分類する場合
3-3:独自のカテゴリで分類する場合
4:レポート(数値データなど)・資料
5:活動記録(継続的な更新)
■サステナビリティページを作ろう(まとめ)
■サステナビリティページに必要な5つのコンテンツ
1:トップメッセージ
サステナビリティページの冒頭には、トップメッセージを入れている企業が多いです。
トップメッセージは、次の要素で構成されます。
・代表取締役の氏名
・顔写真
・サステナビリティへの取り組み方針
サステナビリティページをトップメッセージからはじめることによって、「全社を挙げてサステナビリティに取り組んでいる」ということが視覚的にも伝わりやすくなります。
また、企業はさまざまな情報開示を求められていますが、ほとんどの枠組みにおいて、トップメッセージは必須です。
多くのステークホルダーとの信頼関係を築くためにも、わかりやすいトップメッセージを掲載しましょう。
コーポレートサイトの「会社概要」「採用」などのページに既にトップメッセージが掲載されている場合でも、改めて、サステナビリティページにトップメッセージを入れましょう。
サステナビリティページのトップメッセージでは、環境問題、社会問題に対して、自社としてどのようなスタンスで取り組んでいくのか、サステナビリティに関することだけを語ることがポイントです。
例)キューピーグループ
https://www.kewpie.com/sustainability/message/
2:基本方針と重点課題(マテリアリティ)
サステナビリティに対する基本的な考え方を伝えます。自社が描く持続可能な社会のイメージ、ビジョンや、持続可能な社会を実現していくための構想、方針を整理しましょう。
例えばSoftbankでは、「考えるのは、300年後の人と地球」とタイトルを付け、「情報革命をリードする企業としての責任を果たしていく」と宣言しています。
https://group.softbank/sustainability/mission
サステナビリティビジョンの下には、ビジョンを実現していくために、どこに重点を置いて活動していくかを「重点課題(マテリアリティ)」として掲載しています。
環境問題、社会問題は多岐にわたりますので、自社で「すべての課題に対する取り組みを行う」ということは不可能です。自社として、どこに重点を置くのかを決めて、集中して取り組んでいくことが大事です。
https://group.softbank/sustainability/mission
重点課題の他に、以下もいっしょに掲載している企業が多いです。
・重点課題をどのように特定したか(特定プロセス)
・どんな体制で推進していくのか(サステナビリティ推進体制)
上場企業(特にグローバルな企業)のサステナビリティページに掲載されている項目が似通っているのは、国際基準のガイドラインがあるためです。
※国際基準のガイドラインの例
GRI(Global Reporting Initiative)
SASB(Sustainability Accounting Standards Board)
3:具体的な取り組み
「具体的な取り組み」は、サステナビリティページのメインコンテンツになります。企業ごとに多種多様な取り組みがあるので、「具体的な取り組み」の書き方は、企業によって特徴が出るところです。
3-1:重点課題(マテリアリティ)と一致させる場合
前述した企業の重点課題(マテリアリティ)ごとに、どんな取り組みを行っていくかを定めているケースがあります。
例えば、メルカリは「限られた資源が大切に使われ、誰もが新たな価値を生み出せる社会へ」というコンセプトのもとで、次の5つの重点課題を定めています。
・循環型社会の実現/気候変動への対応
・ダイバーシティ&インクルージョンの体現
・地域活性化
・安心・安全・公正な取引環境の整備
・コーポレイトガバナンス/コンプライアンス
https://about.mercari.com/sustainability/
そして、この重点課題ごとにページを分けて・具体的にどんな取り組みを行っていくかを詳しく説明しています。
例えば「循環型社会の実現/気候変動への対応」のページでは、目指すゴールや、取り組み方針・数値目標などがイラストとともに、わかりやすく記されています。
▼循環型社会の実現/気候変動への対応
https://about.mercari.com/sustainability/creating-a-circular-economy/
3-2:ESGのカテゴリで分類する場合
「具体的な取り組み」を、ESGのカテゴリに分類している企業は、多いです。
・環境(Environment)
地球温暖化、気候変動、生物多様性、海洋汚染、森林破壊、エネルギーマネジメントなどに関する取り組みは、環境(Environment)のカテゴリに入れます。
・社会(Social)
人材、ダイバーシティ、働き方、地域社会との連携などに関することは、社会(Social)のカテゴリに入れます。
・ガバナンス(Governance)
情報セキュリティ、リスクマネジメント、コンプライアンスなどに関することは、ガバナンス(Governance)のカテゴリに入れます。
例として、三菱地所グループのサステナビリティのページをご覧ください。サステナビリティ活動をESGで分類して掲載しています。
https://www.mec.co.jp/j/sustainability/
近年、従来の財務情報だけではなく、ESGに関する取り組み(非財務情報)も考慮した投資(ESG投資)の割合が増えています。
ESGという言葉は、投資家はもちろん、一般への認知度も高まっています。そのため、サステナビリティに対する取り組みを、ESGのカテゴリで分類する企業も多いようです。
ESGに加えて、「健康」というカテゴリを追加しているのは、ヤオコーグループです。スーパーマーケットチェーンで食品を扱う企業らしいカテゴリです。
10年後、20年後にも安全安心な農作物を提供できるようにと考えられた「ヤオコーファーム」という取り組みや、地産地消を目的とした地元野菜農家さんとの取り組みなどが掲載されています。
https://www.yaoko-net.com/sustainability/
3-3:独自のカテゴリで分類する場合
ライオンのように、自社の特徴を出して「健康な生活習慣づくり」に重点を置いた分類もあります。「自社のビジネスで持続可能な社会に貢献していこう」という意思が感じられるカテゴリです。
https://www.lion.co.jp/ja/csr/
取り組みの分類方法として「事業活動を通じた取り組み」と「企業活動を通じた取り組み」に分ける方法もあります。
株式会社日立システムズの「SDGsへの貢献」のページでは、SDGs達成に向けた取り組みを、この2軸で分類しています。
サステナビリティやSDGsへの取り組みは、CSRとして捉えるのではなく、CSV(共創価値の想像)として取り組んでいくことが重要です。「事業活動を通じた取り組み」は、まさにCSVの考え方に合致しています。具体的な取り組みを、SDGsの項目と照らし合わせて掲載しています。
https://www.hitachi-systems.com/sustainability/management/sdgs/index.html
4:レポート(数値データ)・資料
サステナビリティに対する取り組みを掲載するだけではなく、取り組みの結果を継続的にレポートすることも大事です。取り組みの下に「ライブラリー・データ集」などのコーナーを設けて、さまざまな資料を公開している企業が多いです。
例えば、三菱地所グループでは、ESGで分類して、
E:環境関連データ
S:社会関連データ
G:ガバナンス関連データ
について、目標数値に対する毎年の達成度を掲載しています。
https://www.mec.co.jp/j/sustainability/activities/esg-data/
富士通株式会社では、サステナビリティトップの最後に「データ・資料」として、次のような項目を並べています。
-外部評価・表彰
-社会・環境データ
-第三者保証報告書
-GRIスタンダード/国際グローバル・コンパクト(GC)対象表
-サステナビリティ報告に関する考え方
https://www.fujitsu.com/jp/about/csr/
5:活動記録(継続的な更新)
サステナビリティページを構成するさまざまなコンテンツのなかで、この活動記録は最も更新性の高いコンテンツです。活動記録を継続的に更新していくことによって、取り組みに対するリアリティが出ます。
素晴らしいビジョンを掲げることは、誰でもできるかもしれません。しかし、掲げたビジョンに向けて、日々活動していくことは、誰にでもできることではありません。できるだけ、活動記録を掲載するようにしましょう。
ライオン株式会社では、サステナビリティページの中に、社員の活動報告を掲載しています。「活動ブログ サステナブルな社員より。」のページでは、社員の活動が、社員に入りでイキイキと表現されています。とてもリアリティがあります。
https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/
ベネッセホールディングスでは「サステナブルな社会へ」というオウンドメディアを更新しています。「サステナブルな社会へ」では、持続可能な社会に向けた日常的な活動を、SDGsの17の目標と照らし合わせながら更新しています。
https://www.benesse.co.jp/brand/
■サステナビリティページを作ろう(まとめ)
いかがでしたか?
サステナビリティページを作る際は、次の5つのコンテンツを盛り込むように検討してみてください。
【サステナビリティページに必要な5つのコンテンツ】
1:トップメッセージ
2:基本方針と重点課題(マテリアリティ)
3:具体的な取り組み
4:レポート(数値データなど)・資料
5:活動記録(継続的な更新)
企業のサステナビリティに関する情報発信は、今後、ますます重要になってきます。
理由としては、主に2点。
- 消費者や投資家、ステークホルダーの意識・要望が高まっている
- 各国の法律や規制などによって、企業のさまざまな情報開示が求めらている
企業が、サステナビリティ推進に真剣に取り組み、積極的に情報開示や情報発信を行うことは、企業としての社会的責任を果たすために欠かせない取り組みです。
サステナビリティに関する情報が透明かつ正確に伝えられることによって、企業は社会からの信頼を得られると同時に、持続可能な社会を実現するための真の貢献ができるのです。
▼サステナビリティページの企画、制作は、グリーゼ(現シェダル)にお任せください
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