ここがポイント(シェダル考察)

株式会社ニッスイは、水産資源の持続的利用と地球環境の保全に配慮し、水産物をはじめとする多様な資源から新たな価値を創造する総合食品メーカーです。
食品事業(家庭用商品・業務用商品の製造、販売)、水産事業(水産品の調達、加工、販売)、ファインケミカル事業(医薬・化粧品の原料の製造、販売)、物流事業の4つの主要事業を展開しています。

これからサステナビリティページを立ち上げようとしている企業、または既存のコンテンツを充実させようとしている企業にとって、同社の取り組みは理想的なモデルケースとして非常に参考になります。このレベルまで、構成や内容を一度に整えるのは容易ではありませんが、将来的に目指すべき姿として、とても参考になる事例です。

特に、情報構成や自然資本への対応は、特筆すべき内容と言えます。

●情報構成に関して

ステークホルダーへの情報開示において、多角的なアプローチを採用しています。

サステナビリティページでは、下記の「サステナビリティレポート」「統合報告書」をベースに最新情報を反映し、カテゴリ別に再編集・再構成されています。読み手の目的に応じて情報の深さを調整し、必要な情報へのアクセスが容易になるよう最適化されています。詳細な情報や関連情報へスムーズに繋がるリンクが設けられている点も、利便性を高める工夫として評価できます。

・「サステナビリティレポート」:ニッスイグループのサステナビリティに関する取り組みを網羅的にまとめたもので、トップメッセージから始まり、グループのサステナビリティ戦略、目標と実績、環境、社会、ガバナンス、そしてESGデータを含むライブラリまで詳細に記載されています。ステークホルダーとの対話、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)およびTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応、自然資本の評価なども具体的に記述されています。さらに、独立したTNFDレポートも作成している点は注目に値します。

・「統合報告書」:主に株主・投資家向けのコミュニケーションツールとして活用されており、IR情報のページにあります。長期ビジョン「Good Foods 2030」における事業戦略や中期経営計画とESG・サステナビリティ情報を連携させることで、企業価値向上のストーリーが明確に描かれています。ESG指標や投資家対話に関する情報もわかりやすく整理されています。

●自然資本に関して

ビジネスが自然資本に大きく依存している背景から、単に依存関係を認識するだけでなく、自然への依存と事業への影響を深く分析しています。その上で、リスクと機会の分析、対応策、指標と目標、具体的な取り組み内容などを、積極的に開示しています。
加えて、
・TNFD最終提言からわずか2ヶ月半後に初のTNFDレポートを発行した迅速性
・漁業業界に特化したLEAPアプローチを忠実に実践している点
・持続可能な水産ビジネスを目指すイニシアティブであるSeaBOS(Seafood Business for Ocean Stewardship)と連携している点
・専門家だけでなく業界に詳しくない人にもわかりやすく読みやすい点、親近感も生まれる点
など、高く評価される要素が多い内容となっています。

サステナビリティ経営に取り組む企業にとっても、多くの学びが得られる内容です。

会社情報

運営主体株式会社ニッスイ
名称サステナビリティ
URLhttps://www.nissui.co.jp/
URL(サステナビリティ/SDGshttps://nissui.disclosure.site/ja
所在地東京都
カテゴリ水産・農林業

※2025年7月現在の情報に基づいて執筆されたものです。その後、変更されている可能性もあります。予めご了承ください 。

お問い合わせ

ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください